前回、岩手の建設業111社のうち87社(78.4%)に採用ページがあったと書きました。予想より多い数字です。建設業はネットに疎い、という前提は成り立ちませんでした。
今回は、その87社を分解します。
87社の内訳
| 状態 | 社数 |
|---|---|
| スマホ非対応 | 14社 |
| 古い構造(table組み・fontタグ等) | 16社 |
| 更新が2年以上止まっている | 4社 |
| 上記のいずれかに該当 | 28社 |
| すべてクリア | 59社 |
87社中28社。採用ページを作った会社の、およそ3社に1社です。
裏を返せば59社は問題なしでした。3分の2はきちんと機能しています。ここは強調しておきます。全体が悪いという話ではありません。差が開いているという話です。
応募者はスマホしか使わない
スマホ非対応の14社について書きます。
求人に応募する人が、パソコンを開いて会社のサイトを見ることは、もうほとんどありません。特に建設業の現場職を探している層は、スマホが唯一の窓口です。
その人がスマホで採用ページを開いて、パソコン用の画面が縮小表示されたとします。指で拡大しないと募集要項が読めない。表がはみ出して給与欄が切れている。
ここで読むのをやめます。
募集内容が良いかどうかは、判断される前の段階で終わっています。
そして会社側には何も伝わりません。「サイトが見づらかったので応募をやめました」と連絡してくる人はいないからです。応募が来ない理由として、まさかサイトの表示が原因だとは思いません。
「古い構造」が意味すること
16社が該当した「古い構造」は、tableタグでレイアウトを組んでいる、fontタグを使っている、frameset を使っている、HTML5のdoctype宣言が無い、といった特徴で判定しています。
これは技術的な粗探しではありません。実害が2つあります。
1つ目:スマホでの表示が崩れやすい
table組みのレイアウトは、画面幅が狭くなると横スクロールが発生します。スマホで読むには不向きです。
2つ目:検索結果で不利になる
Googleはモバイルでの表示を基準にサイトを評価します。スマホで読みづらいページは、検索順位が上がりにくい。
つまり「見つけてもらえない」と「見つけても読めない」が同時に起きます。
更新が止まった採用ページ
4社は、採用ページの情報が2年以上更新されていませんでした。
これは表示の問題ではなく、信用の問題です。
そこに載っている募集職種は、まだ募集しているのか。給与は現在の水準か。応募する側には判断できません。
判断できないページは、信用されません。
「とりあえず問い合わせてみよう」と思ってもらえる会社と、「これいつの情報だろう」で終わる会社の差は、内容の良し悪しではなく更新日で決まります。求人票と同じです。
この話は別途1本書きます。
3社に1社、という数字の重み
建設業の採用は、いま完全な売り手市場です。応募者は複数社を比較します。
同じ地域の同業他社と並べられたとき、片方はスマホできれいに読めて、片方は拡大しないと読めない。それだけで比較の土俵から落ちます。
給与や休日で勝負する前の話です。
28社は、採用にコストをかける以前のところで機会を失っています。
逆に言えば、ここは直せば取り返せる部分でもあります。給与を上げるのは経営判断ですが、サイトの表示を直すのは経営判断ですらありません。
自社の採用ページを確認する3ステップ
制作会社に問い合わせる前に、自分でできます。
ステップ1:スマホで開く
自社サイトの採用ページをスマホで開いてください。指で拡大せずに募集要項が読めますか。読めなければスマホ非対応の可能性が高い。
ステップ2:更新日を探す
募集要項に日付が入っていますか。入っていない場合、最後に内容を変えたのはいつか思い出してください。思い出せなければ、それが答えです。
ステップ3:応募方法を見る
電話番号だけになっていませんか。フォームやLINEがありますか。この話も別の記事で書きます。
3つとも問題なければ、御社は59社の側です。何もする必要はありません。
この調査について
岩手県の建設業許可業者名簿(令和8年6月30日時点)の全3,994社から法人2,045社を抽出し、ホームページを特定できた111社を機械的に診断しました。採用ページの有無は「採用」「求人」「recruit」「careers」への導線があるかで判定しており、内容の充実度は評価していません。111社は法人全体の一部であり、岩手の建設業全体を代表する数字ではありません。