岩手県の建設業許可業者名簿を手に入れました。令和8年6月30日時点、全3,994社です。
そこから法人だけを抜き出すと2,045社。さらに、ホームページの場所を特定できた111社について、サイトを1社ずつ機械的に診断しました。
診断項目は先に決めてあります。SSLの有無、スマホ対応、最終更新年、採用ページの有無、HTMLの構造、そもそも表示できるか。人の主観は入れていません。デザインの好き嫌いも判定していません。
その結果、予想と逆の数字が出ました。
資本金が大きい会社ほど、スマホで見られない
診断した111社を、資本金で2つに分けました。
| 資本金 | 社数 | スマホ非対応 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 5,000万円以上 | 55社 | 15社 | 27.3% |
| 2,000万円未満 | 53社 | 6社 | 11.3% |
資本金の大きい会社のほうが、スマホで見られない率が2倍以上高い。
正直、逆だと思っていました。予算のある会社のサイトはきれいで、小さい会社のサイトが古い。そういう結果が出ると予想して集計しました。
外れました。
「スマホ非対応」が何を意味するか
ここで言うスマホ非対応は、感覚的な判定ではありません。
HTMLの<head>に、次の1行が入っているかどうかで機械的に判定しています。
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1">
この1行が無いと、スマホでサイトを開いたときに、パソコン用の横長の画面がそのまま縮小表示されます。文字が小さすぎて読めない、指で拡大しないと何も分からない、あの状態です。
111社中21社(18.9%)が、この状態でした。
予算の問題ではない
資本金5,000万円以上の会社が、viewportの1行を入れる予算を出せないということはありません。制作会社に頼めば数分の作業です。
つまりこれは、お金の問題ではないということになります。
では何の問題か。作った時期の問題です。
体力のある会社は、早い時期にホームページを作りました。2000年代です。当時はスマホがありません。パソコンで見る前提の作りで、それが当時の正解でした。何も間違っていません。
そして、そのまま今に至っています。
会社は動いています。仕事も来ています。困っていないから、サイトを作り直す理由が社内から出てきません。誰も反対しないけれど、誰も言い出さない。そういう状態で年が過ぎていきます。
一方、資本金の小さい会社は着手が遅れました。作ったのが2015年以降であれば、使ったテンプレートが最初からスマホ対応です。
遅れたことが、結果的に有利に働いています。
早く手を打った会社ほど、いま古い
この構図は、たぶん建設業に限りません。
早く動いた会社が、その時点の最善を選び、そのまま止まる。後から動いた会社が、新しい前提でスタートして追い抜く。地方の中小企業でよく見る形だと思います。
サイトに限らず、業務システムでも、機械でも、同じことが起きているはずです。
ただサイトの場合は、外から丸見えです。
取引先も、求職者も、その古い画面を見ています。会社の実力とは関係なく、そこだけで判断されます。
自社が該当するかの確認方法
難しくありません。
スマホで自社サイトを開いてください。
指で拡大しないと文字が読めなければ、viewportが入っていない可能性が高いです。逆に、文字がスマホの画面幅にきちんと収まっていれば対応済みです。
判定はそれだけで足ります。制作会社に問い合わせる前に、まず自分の目で確認できます。
もし該当したとしても、作り直しが必要とは限りません。この話は別の記事で詳しく書きます。
この調査について
使ったのは岩手県の建設業許可業者名簿(令和8年6月30日時点)です。全3,994社から法人2,045社を抽出し、そのうちホームページを特定できた111社を診断しました。
111社は法人全体の一部です。「岩手の建設業はこうだ」と全体を語れる数ではありません。あくまで、サイトを持っていて場所を特定できた111社の実態です。
この数字を出したのは、批判のためではありません。うちの会社は大丈夫だろうか、と一度だけ確認するきっかけになれば十分です。